blogぼちぼちいこか/伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会 - 2011/09

サークルぼちぼちいこか/伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会




2011年09月22日(Thu)▲ページの先頭へ
三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会 9月例会案内
三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会
 
(三重県・考える会)

 
9月例会

日時 : 9月 25日(日) 13:30〜16:30
 
会場 : アスト津 3F ミーティングルームAB

 
高垣忠一郎さんのお話勉強会

・9月は、勉強会と通常の交流会です。
・11月 5日(土) には、公立定時制・単位制・通信制高校説明会を行う予定です。


2011年09月17日(Sat)▲ページの先頭へ
発達障がいと不登校・高校中退や就労D
4、対応のポイント 

さて、子どもが不登校やひきこもりの状態になった時、人間関係のトラブルが原因のひとつである可能性がありそうなケースでは、発達障がいの可能性もある、ということを心の隅に入れておく方が良いでしょう。その上で、「発達障がい」について知る努力をすると良いかも知れません。というのは、発達障がいではない不登校やひきこもりの子に対する対処方法として正しいことが、発達障がいの子にとっては不適切な対処となる場合もあるからです。

一般の定型発達の子や若者に対しては「心のエネルギーが弱まっている間は待つ」というのは適切な対応の1つです。けれども、それは本人が自由に決断するということにつながっているので、選択することや決断することが苦手なある種の発達障害の子や若者にとっては混乱のきっかけになる可能性もあるのです。

そうしたことから、子どもの現実をよく見極めることも大切です。というのは、発達障がいといってもそのくくりは大まかなものですし、同じように「アスペルガー症候群」という診断を受けたとしても、子どもによって、その差は千差万別です。だから、今の時点で 子どもにどのようなことができて、何が出来ないのか、どんな時にトラブルをおこしやすくなるのか……というようなことを知っておくことも大切です。

現実をよく見極め、それを受け入れることは、言葉にするのは簡単ですが、けっこう難しいものです。以前、死と向き合うことをテーマにした話を聞いたことがあります。上智大学の教授であったアルフォンス・デーケンが、癌などの不治の病で死の宣告を受けた人の心の動きについてキュープラ・ロスの分析を紹介していました。自分の死という「現実」を前にして、多くの人はまず「なぜ自分はこんな運命に見舞われなければならないのか」と怒り、「そんなことあるわけが無い」と否認し、あるいは「まじめになる」とか「熱心な信者になる」といったような形で神や運命と取引しようとしたりするが、やがて現実を受け入れることにより心の平安を取り戻し、残りの人生を有意義に生きることができるというのです。ところが、キュープラ・ロス自身は、自分自身の死を前にして「受け入れる」ところまではいかず「怒り」の段階に留まったまま死を迎えた……というような話も聞いています。

自分の死……とまではいかないまでも、自分自身が発達障がいである……とか、自分の子どもが発達障がいである……という「現実」は、大人でも簡単には受け入れられない場合があります。また、受け入れるにはそれなりに時間も必要となる場合も少なくないようです。けれども、やはり「現実」を受け入れることで先に進むことが出来ます。それなりに、覚悟を決める/腹をくくる必要はありますが、それによって道も開けてくるものです。

さて、自分自身や子どもが発達障がいであることを受け入れることができれば、「本人の現実」を理解することが出来るようになってきます。その上で、得意なことや理解できること、苦手なことや限界(ここまでは出来るがこの先は難しい、あるいは非常に時間がかかって本人には負担が大きいというようなこと)を意識すれば、こうすれば良い……ということも見えてきたりしますし、やれることも少しずつ見つかってくるものです。

例えば、ADHDで集中できない子がいるとしても、あらゆることに対して1秒も集中できない……ということはまずありません。本人が「自分にできそうだ」と感じられる課題なら15分程度なら集中できるかもしれません。観察によってその辺りを見極められれば(それこそ「現実」を受け入れることの1つです)、毎日15分練習をする……という目標設定をして、続けられるような工夫をすればいいのです。また、視覚化も本人の頭やスケジュ―ルを整理しやすくなる傾向があります。中学生くらいでも、シールや「よくできました」などのかわいい感じの判を押したりすることで「できたこと」を目に見える形で残してあげたり、日程を表にして色分けしたりすることで落ち着いたり、やる気を維持したりしやすくなる場合もあります。
 
他にも、学校では、学級の席は窓側や廊下側の後の方などでは気が散りやすいので、なるべく先生に近い前の席に置いてもらう方が本人は集中しやすくなる……というようなこともあります。それから、感情のコントロールが出来難くなりやすい傾向があるような場合は、教卓の下とか部屋の隅とか保健室など、本人が怒りの感情に支配された時にクール・ダウンできるようなスペースをうまく確保してもらうようにすることでトラブルが少なくなったりもします。
 
対応する側も感情的になってしまって大声で叱ったりすると余計に反発したり、逆に極端に萎縮してしまって何もできなくなってしまったりすることもあります。大人の側もすぐに対応を変えるのは難しいのですが、意識していくことで、あまり良くない対応が徐々に減っていきますし、それと比例して子ども本人も落ち着いてくる……ということにもなります。ですから、周囲の大人の側も、まず、自分の出来そうなことから意識して、続けられそうな対応をしていくことが大切です。そうしていくことで、少しずつ本人も周りも変わっていけるのではないかと思います。
 
また、出来ないことに時間をたっぷりかけて人並みにしようとするよりも、出来ないことはある程度までで諦めて、出来ることを伸ばしていくような形で接していくことも大切です。例えば、計算が苦手ならば、ある程度の基本的なことができるようになったら、後は「電卓を使っても良い」ということにして計算で苦しむ時間を少なくし、長所を伸ばしていくような「勉強」の仕方やスケジュールを考えてあげるような配慮は、本人のやる気を損ないませんし、また集中力や意欲も出てくると思います。精神的にも、将来のことを考えても、興味や長所を伸ばす工夫をしていけると良いでしょう。
 
それから、コミュニケーションがなかなかうまくいかない……という困り感がある場合、挨拶や対応などの基本的なことを【スキル】(対人関係の技術)として教え込む……というのも1つの方法です。挨拶をしてニコッとするだけで相手は悪い気はしなくて良い気持ちになるので挨拶が大事なんだ……と教えてあげる。あるいは、自分の思っていることばかりしゃべっていても相手にも都合があったり様々な感情があったりするのでトラブルになることがあるから相手の話をよく聞いてから自分が話すように心がけるとトラブルが少なくなる……というような形で話をしてあげる。そのような繰り返しの中で、本人が納得して心がけるようになれば、かなりトラブルも減ってくるでしょう。

また、仕事などでの優先順位を整理する(1人ではうまくいかない場合は家族や周りの人に手伝ってもらえるような体制を作る)ことや、食べること(料理と片付け)や身のまわりのこと(掃除や洗濯)に関わっての最低限の能力と習慣を身に付けるように訓練していくことも大切です。1人で全て完璧にするということではなく、苦手なものは苦手ななりに最低限のことはできるようにしておき、後はカバーしてもらう代わりに、自分の得意なことや優れている点を周りや社会のために役立てていけるような体制を作り上げることが大切です。全て世話してもらう、甘える……ということではなく、補ってもらいながらお互いに支えあって生きていけるようにする、ということなのです。
 
当然、職業選択についても、本人の「現実」(できること、得意なこと、苦手なこと)を良く考えた上で、集中してできそうなこと、続けられるような仕事を選ぶ必要があります。複雑な対人関係の中で進めなければならない仕事や、高度な対人スキルが必要なセールス系の仕事や、管理に関わるような仕事はあまり向いてない場合が多いでしょう。逆に、少数の分かってもらっている対人関係の中でできる仕事や、自然と関わるような仕事、独特の興味や関心、感覚を生かせるような仕事は本人に向いていることが多いのではないかと思われます。ストレス耐性の弱さを意識してサポートをしながら、お互いに支え、協力し合って生きていけるようにしていくことが大切であると言えるでしょう。

最後に、杉山登志郎さんの『発達障害のいま』での記述を参考に、発達障がいの診断上の新しい分類について紹介しておきましょう。アメリカのDSMという診断基準の近々出るであろう第5版(DSM-V)やWHO世界保健機関の作成している国際的診断基準(ICD)でも、以下のような形で整理されるとのことです。
 
 
第1グループ…精神遅滞、境界知能など
【精神遅滞】
標準化された知能検査でIQ70未満、それに加えて適応障害がある。
・幼児期に言葉の遅れ、歩行の遅れなど全般的な遅れがあり、学童期には学習は通常の教育では困難で学習の理解は不良。しかし感情の発達は健常児と同じである。青年期は特別支援教育を受けていない場合は学校への不適応がみられ被害者的な意識や思い込みが強くなってうつ病になることもある。
【境界知能】
標準化された知能検査でIQ70以上85未満。
・幼児期には若干の軽度の遅れが見られるだけだが、学童期には小学校中学年頃から学業成績が不良となりやすくばらつきも多い。青年期ではそれなりに適応する者が多いが、不適応が著しい場合は不登校などの形をとることも多い。第2グループ(自閉症スペクトラム)の併存症として認められることも多い。

第2グループ…アスペルガー症候群なども含む自閉症スペクトラム
【知的障害を伴った自閉症スペクトラム障害】
社会性の障害および想像力の障害がある。
・幼児期に言葉の遅れ、視線が合わない、親から平気で離れるなどの特徴が見られ、児童期になると様々なこだわり行動が確認できるようになり学校の枠の理解が不十分なため特別支援教育以外に教育は困難であるが、この頃から親子の愛着が進む。青年期では適応できる者はきちんとした枠組みの中であれば安定しているが、一方で激しいパニックを生じる場合もある。多動性行動障害や気分障害、てんかんなどの併存症が見られることもある。
【高機能自閉症スペクトラム障害】…アスペルガー症候群も含まれる
社会性の障害および想像力の障害があり、知的にはIQ70以上。
・幼児期に言葉の遅れ、親子の愛着行動の遅れ、集団行動が苦手といった特徴が見られ、学童期になると社会的状況の読み取りが苦手、集団行動の著しい困難、友人を作りにくい、ファンタジーへの没頭といった特徴が見られる。青年期では孤立傾向、限定された趣味への没頭、得手不得手の著しい落差といった特徴が見られる。併存症としては学習障害、発達協調性運動障害、多動、不登校、気分障害など多彩なものが見られる。
 
第3グループ…注意欠陥多動性障害、学習障害、発達性協調運動障害など
【注意欠陥他動性障害/ADHD】
多動、衝動性、不注意の特徴および適応障害がある。
・幼児期には多動傾向、若干の言葉の遅れがあり、児童期になると低学年における着席困難、衝動的行動、学習の遅れ、忘れ物など不注意による行動が見られる。青年期には不注意、抑うつ、自信の欠如、適応がうまく行かない場合には非行なども見られる。併存症としては、反抗挑戦性障害、抑うつ、非行などがある。
【学習障害/LD】
知的能力に比べて学力が著しく低く、通常の学習では成果が上がらない。
・幼児期は若干の言葉の遅れが見られることが多く、学童期になると学習での苦手さが目立つようになる。青年期になると純粋な学習障害の場合は、ハンディを持ちつつも社会的適応は良好な者が多い。併存症については、学習障害自体が様々な発達障害に併存して生じることが多い。
【発達性協調運動障害】
極端な不器用さが見られる。
・幼児期の特徴は不器用で他の障害に併発することが多く、学童期になると小学校高学年頃には生活の支障となるような不器用は改善される。青年期には不器用であるがそれなりに何とかなる。併存症としては、他の軽度発達障害との併存が多い。
 
第4グループ…子ども虐待
【子ども虐待】
子どもに身体的、心理的、性的加害を行う、あるいは必要な世話を行わない。
・幼児期には愛着の未形成、発育不良、多動傾向が見られ、学童期になると多動性の行動障害や徐々に解離症状が発現するようになる。青年期になると解離性障害および非行、うつ病などが見られ、最終的には複雑性PTSDに移行することもある。特に高機能自閉症スペクトラム障害に対する虐待は高リスクで、最も多い併存症は反応性愛着障害と解離性障害である。
 
 
 
脳科学の新しい成果などをベースに、発達障がいについての研究も飛躍的に進んでいます。そして、発達障がいが「大人になれば完治するものではない」ということが分かってきた現在、私たち1人ひとりが、そして私たちの社会全体が、どう発達障がいと向き合っていくかが問われています。学校現場でも、トラブルを避けようとするあまり、「個別指導という名の隔離」の形の対応をしてしまうケースがあります。それは、当事者本人の発達の機会ばかりでなく、周囲の子どもたちの関わる機会を奪ってしまう事にもつながりかねません。発達障がいとどう向き合い、どう共生していくのかが、今、まさに問われているのです。
 
いろいろと述べてきましたが、今、私が整理して伝えることができるのはこれくらいです。ただ、けっこう多くのことを述べてきましたので「あれも、これも…そんなにしなければならないのか」と感じた方があるかも知れません。しかし、大人ではあっても人間であり神様や仏様ではないので、1人であれもこれも完璧にしようと考えてしまってはすぐに疲れてしまい、やがて何も出来なくなってしまうでしょう。そのため、場所や相手を選ぶ必要はありますが、弱音を吐いても良いのです。
 
それに、完璧にできなくても、他の人たちがフォローしてくれるような形を作れれば問題はありません。だから、1人で抱え込んだり、一人でやらなければいけないし誰も分かってくれないというような考えを持って孤立しないことがとても大切です。自分で意識して出来ることを続けながら、他の人々といっしょにやっていければ良いと思います。
 
              【完】


2011年09月16日(Fri)▲ページの先頭へ
発達障がいと不登校・高校中退や就労C
3、過程としての高校・高校中退と就労、そして発達障がい 
 
今、三重県でも就労状況は厳しく、特に南部に行けば行くほど、なかなか仕事が無い…というのが現状です。私の中学時代の同級生も、市内での仕事が無いために名古屋に出て行ったという人が何人もいますし、市内に住んではいても、毎日、片道1時間を越えるほど遠くの現場に働きに行っている人もいます。そんな中で、県の南部にある就労支援のNPOの話では、ハローワークで紹介してもらえる仕事で正規のものは勿論、常勤のものも派遣も含めて本当に少なく、パートやアルバイトばかりです。以前私が勤めた仕事場の人の話では、「配偶者がハローワークで仕事を探しているが、市内の仕事はなかなかない」とのこと。私の後輩も体調の問題があって転勤できないため仕事を辞めたのですが、1年以上経ってもいい仕事が見つからず、ハローワーク通いが続いているようです。
それでも、仕事を持ち、収入を得ることは、人間としての自立・成熟には必要となります。だから、仕事を持ってまとまった収入が得られ、暮していくことができればある意味では「高卒資格」など必要ありません。しかし、厳しい就労状況が続いている中では、「高卒資格」は「持っていて当然」というような見なされ方をする場合が圧倒的に多いのです。
 
一方、大学を出ていても就労できない……というようなケースもあります。かなりの有名大学であっても、人間関係でトラブルを起こしたり、うまく他者との関係が結べないような場合はけっこう就労が難しいことがあるのです。そのように、人間関係に問題を抱えている場合は、一足飛びに常勤の就労を目指すのではなく、無理の無い程度にパートやアルバイトで経験を積みながら就労時間を長くしていく取り組みが有効です。
先ほど出た、県南部の就労サポートNPOのスタッフの話によれば、就労に向けては最低限小学校5年生以上の能力・学力を身に着けていることが必要だ、とのことです。だから、不登校・ひきこもりが長引いて小学校5年生程度の読み書きや計算ができないような場合は、まず、その勉強からやり直さなければなりません。
 
そのNPOでは、学習のサポートなども行っていますが、その他にも就労の経験を積むための水耕栽培の施設の立ち上げ、サポート企業の開拓など様々な活動を行っています。けれども、人間関係の問題が大きい場合は、当然、そのためのサポートや訓練、人間関係の経験を積む活動に多くの時間を割くことになります。そこから始めなければならない、と思うと本人も家族もどうしても焦ってしまいがちです。けれども、基礎を積み重ねていく地道な活動を続けることが、長い目で見れば結局は早道であることが多いのです。
 
人間関係……ということに焦点を当てれば、発達障がい圏の生徒や若者たちは、良好な対人関係を結ぶのがなかなかうまくいかない場合が多いでしょう。ADHDにしろASなどの自閉症スペクトラムにしろ、それぞれ違ってはいても、対人関係がうまくいきにくい……というのは共通している特徴となっています。援助の仕方はそれぞれの今の状況によって異なってくるでしょうが、子どもたちの「現実」をきちんと受け止め、そこから「今できること」を積み重ね、未来への道筋を模索していければ良いのではないかと思います。
 


2011年09月15日(Thu)▲ページの先頭へ
発達障がいと不登校・高校中退や就労B
2、発達障がいと不登校・ひきこもり、高校中退
 
冒頭で、不登校・ひきこもりの相談の場において「発達障がいかも知れない」と感じるケースがあることを述べました。何らかの発達障がいという条件があり、しかも周りに気付かれずに不適切な対応が続けられると、本人が意識しているかどうかは別として、周りから「困ったヤツ」と見られたり軽んじられたりし続けることが多くなります。そしてその結果、その言動や性格形成、精神的な成熟・成長にマイナスの作用がもたらされ、さらなる問題行動や精神的な疾患に至る場合が少なくありません。
 
例えば、やさしく分かりやすい記述でADHDについてまとめベスト・セラーになった『のび太・ジャイアン症候群』という本の著者である司馬理英子さんは、その著書の中でADHDが対応のまずさによっていじめや不登校にいたるケースが少なくないことを指摘しています。
 
司馬さんは、ADHDを多動性や衝動性が強く出る方のタイプを【ジャイアン型】、不注意が優勢でぼうっとしていて積極性の乏しい方のタイプを【のび太型】とニック・ネームをつけて分かりやすく説明しています。そして、【ジャイアン型】が環境の中で自己肯定感を失って他者への不信を増幅し、反抗的・攻撃的な行動パターンを繰り返していくと反抗挑戦性障害(大人にわざと逆らったり、周囲をわざといらだたせたりする行動を繰り返す)や行為障害(非行と見られる行動を繰り返す)といった人格障害に発展するような二次障害を引き起こし、いじめっ子になってしまうケースがあると言います。
 
一方、【のび太型】は引っ込み思案で攻撃に対しても言い返したり反撃したりできないためいじめられっ子になったしまうケースも少なくないようです。また、【のび太型】では普通の定形発達の子であれば不安を感じても自らを励ましながら乗り越えていく課題に足がすくみ、動けなくなってしまう形で不登校やひきこもりにいたったりする可能性があるということです。
 
他にも、【のび太型】【ジャイアン型】を問わず、集中力が続かないために練習量が不足して学習についていけなくなり、不登校へと至るケースもあるそうです。また、【ジャイアン型】で学校への不満や周囲に対する不満を問題行動や非行へとエスカレートさせてしまい、不登校へと至るケースもあるようです。(司馬理英子 『のび太・ジャイアン症候群』 主婦の友社 より)
 
加えて、ストレスに耐える力が、同年代の定型発達の子どもたちよりも弱いという特徴もあります。そのため、一般の子たちが何とか折り合いをつけられるような出来事であっても、発達障がい圏の子どもたちは深く傷付き、また立ち直るのによけいに時間がかかってしまう、というようなことになりかねません。そうした特徴も、普通の定形発達の子どもたちよりも不登校・ひきこもりになりやすい要因と言えるでしょう。
 
それから、中学校までは一応《義務教育》ですので、ほとんど出席しなくても…市町村に設置されている適応指導教室に通っているだけでも…「卒業」はさせてくれます。けれども、高校ということになると【単位】の取得が問題となります。何かのトラブルで深く傷付いたり、何らかの理由で学校へ行けなくなったりすると、それぞれの【単位】に必要な出席時数が足りなくなり、テストすらも受けられる資格を失って、その授業の単位を落としてしまうことになります。そして、多くの単位を落とせば当然、留年となる学校がほとんどです。(一部の単位制高校では「留年」については少し扱いが異なる場合があります。)そして、出席できない日々か3ヶ月とか半年とか続けばほとんど単位が取れなくなります。そうなった時には、一部の通信制高校等を除けば高校に在籍できる年限が決まっている場合がほとんどですから、高校中退や放校ということにもなりかねません。
 
発達障がい圏の子ども達/人々は、ストレス耐性の弱さゆえに、他の定型発達の子どもたちよりも不登校になりやすく、またそれゆえに高校中退をする可能性も高くなってしまうのです。そして、その挫折感が、たとえ表立ってはそう見えていなくても本人を深く傷つけているケースは多いでしょう。当然、プライドが傷付いて自己肯定感も低くなり、そのことが再チャレンジの敷居をさらに高くしてしまっている場合も少なくないと考えられます。
 
アスペルガー症候群(AS)の子どもなどでは、対人関係に困難さを抱えていても、その集中力ゆえに勉強の成績はけっこう良い場合もあります。テストの点だけなら、有名進学校や国公立・私立の有名大学に合格できるだけの点数を取っているケースは少なくないのです。それが、トラブルが引き金となって不登校になり、今まで行っていた高校を中退することになってしまった時、再度、別の高校にチャレンジしようとする意欲が高い場合も当然出てきます。
 
ただ、その際の学校の選択を点数だけでやってしまうと、不登校・高校中退を繰り返す可能性は高くなります。本人がどれだけ外に出て行けるのか、とかどれくらいの人数の人たちの間でなら居心地がそれほど悪くないのか、そういったことも考える必要があるのです。点数よりも、学校の雰囲気が本人に合っているのか……という点や、いざという時の学校や周囲のサポート体制の有無などにも注意して学校を選択する方が良いでしょう。
 
例えば、本人が普通に外に出て様々な活動が出来ている状態であれば、また、ショッピングセンターや映画館などの人ごみも特に気にならないのであれば、普通の自分の実力にあった高校を受験するという選択で良いと思います。人が多いということが多少気になるとしても、それ程不安や恐怖を感じることなく高校生活を過ごすことが出来るでしょう。そのように考えれば、少し慣れるまで時間がかかるだろうと覚悟をした上で普通の高校を選択する、という判断も悪くないでしょう。
 
けれども、本人が他の人との関係で不安が大きく、人が多いとかなりプレッシャーを感じるのであれば、そのプレッシャーの度合いに応じて、定時制や通信制を考えた方が良いでしょう。定時制や通信制高校の場合、学校やクラスの規模が一般の全日制高校よりも小さめですし、通信制では特に出席しなければならない日数も少ないので対人関係のプレッシャーは普通の全日制高校よりもずっと小さくなります。他の人との関係でのプレッシャーが多少なりとも小さくなれば、その分、高校生活は続けやすくなるでしょうし、高校を卒業できる可能性も高くなるでしょう。20人から30人程度の少人数なら強いプレッシャーを感じずに活動できそうであれば、夜間定時制(単位制)高校が続けやすい選択となるだろうし、その人数でもかなりプレッシャーだというのであれば、月に3~4回程度学校に行けばよいだけの通信制高校という選択が良いかも知れません。
 
ただ、通信制高校の場合は、締め切りに合わせて定期的にレポートを出していく必要があるので、レポートを完成するためのサポート方法も合わせて考えて置くと良いでしょう。1つの例としては、登校日でなくても学校に出かけて通信制高校の先生に指導を受けるという方法。勤務時間内であれば先生は教えてくれますし、「先生」という新しい他者と関係を作り、深めていく機会ともなります。また、塾や家庭教師などを利用するというのも本人が他者との関係を結ぶのに困難を感じないような相手や「場」として機能している、あるいは機能するような感じがある…というのであれば、それも1つの方法です。
 
それから、昼までなら何とかなるけれど、朝早くはどうしても起きることができない、というのであれば、定時制(単位制)高校の午後の部という選択肢もあります。午後の部だけの授業を取っていると卒業まで最低4年かかりますが、最近は午前の部や夜の部の授業も一部は取れる形をとっている定時制(単位制)高校が増えてきていますし、学校によっては通信制高校の単位も取れる制度が利用できるケースもあるので、そのような形でうまく単位を取っていけば3年で卒業することも可能です。
 
高校によってはアルバイト(夜間や通信の場合は仕事に就くこと)が認められる場合もあります。お金の問題、というだけではなく新しい人間関係を作っていくチャンス/練習ととらえることもできます。だから、無理のない程度に学校の勉強とのバランスを考えながら、アルバイトにチャレンジしてみることも、将来の事を考えればbetterではないか、と思われます。
 
それから、試験で単位を集めて高卒の資格をとり、大学に進んだり、専門学校に進んだりする、という選択もあります。試験に合格できるような学習を積み重ねていければ、「高卒」の資格を得る手段は別に問われませんから、これも一つの道です。ただ、学校ほどには他者との関わりは多くない場合がほとんどですから、対人関係の経験を積む機会は減少します。それは、その時点での対人関係に自信のない人には魅力ですが、他者と接する経験が積めないという面を考えれば、長期的にはデメリットの1つになる可能性はあります。
 
いずれにしても、高校はゴールではなく、通過点に過ぎない、ということを色々な意味で頭に置いておくことが大切でしょう。合格できればそれで良い、という訳ではありません。それに、将来、自立して家族と暮らしていければ、どんな形で高校を出ていようが関係ないし問題はない訳です。あるいは、それなりに自立して暮していける条件が整っているのであれば、必ずしも高校に行く必要はありません。そうした意味においても、高校は「通過点」なのです。


2011年09月14日(Wed)▲ページの先頭へ
発達障がいと不登校・高校中退や就労A
1、発達障がいとは何か

最近、「発達障がい」という言葉を目にしたり耳にしたりする機会が多くなりました。私自身もカウンセリングの勉強の中で発達障がいについて何度も学びましたし、学習支援教員として発達障がい圏の子どもたちと実際に接したり直接指導したりするという経験も持っています。ところが、言葉そのものは現場ではそこそこポピュラーにはなっていますが、発達障がいについての社会一般の理解はそれほど進んではいません。
 
伊勢や志摩の行きつけの店で、お客さんと雑談していた時、「困った従業員がいて……」という話になったことがありました。よく話を聞いてみると、どうもADHD(注意欠陥多動性障害)やアスペルガー症候群(AS)の可能性があると感じたので、「他にこんな様子じゃないですか?」と言いながらそれぞれの特徴的な様子を話してみると「そうそう」とうなずくのです。そこで、その従業員は発達障がいの可能性があるので、このような対応の仕方をするとトラブルは少なくなり、その特徴を生かす部署につけられれば、会社にとってもプラスとなる可能性がある……という話をしました。また、学校の現場の様子からすれば、大体、1割程度は発達障がいの児童・生徒がいるような感触があるので、これからの企業経営は、彼らとどう共存していくか……ということも考える必要があるのではないか、という話もしました。
 
発達障がいの子どもたちはここ10年ほどの文献でも一割程度は存在していると書かれています。実際に学校現場で子どもたちと接しているとクラスに数人程度は発達障がいもしくはそのボーダーラインの少し上くらいにいる子ではないか……と思われる子はいますし、私自身の実感からしてもそれは増加傾向にあるようです。だから、ごく普通の日常的な仕事の中で発達障がいの傾向のある人たちと接する機会はあって当然なのです。
 
それでも、きちんとした知識を持って接すれば何でもないし、かえって発達障がいの人が、その対人関係面の不器用さと引き換えに持っている優れた能力を発揮して素晴らしい業績を上げる可能性もあるのです。ところが、それを知らずに接しているとお互いに嫌な思いをするし、内外でトラブルが頻発することにもなりかねません。加えて、アメリカなど制度として発達障がいをサポートするような社会になっている国々と比較して、日本は多くの面で遅れています。ようやく知的障がいなどの加えて障害年金に発達障がいが適応できるような改革もなされましたが、まだまだ認められるためのハードルは高いようです。結局、発達障がいの子どもや人々は、今の日本の社会の中では、まだまだ十分な支援が受けられるようにはなっていない現実があるのです。
 
では、発達障がいとは何なのか。心理内科医で『発達障害に気づかない大人たち』などの著作で有名な星野仁彦さんは『発達障害を見過ごされる子ども、認めない親』という最近の著作の中で、主な発達障がいを以下のようにまとめてくれています。


注意欠陥・多動性障害(ADHD)

・注意が散漫になりやすい、落ち着きがない、集中力がない、感情のコントロールがきかない、計画性がない、衝動的な行動を起こす
〔 感情のコントロールがききにくく活動的だが衝動性の強い、いわゆるジャイアン型と、集中力の維持が困難でぼうっとしているように見えることが多い、いわゆるのび太型など大まかに分けてもいくつかのタイプがある 〕
 
自閉症スペクトラム障害

・自閉症、アスペルガー症候群(AS)を含めた総称、根本的な障害が共通し、スペクトラム(連続性)があることから名づけられた。特徴としては、人の感情が理解できないため対人関係がうまくいかない、人との会話が成り立たない、コミュニケーション能力が乏しい、興味や関心を持つ範囲が限定的、こだわりが強い
〔 話をしている相手や周りの人たちの思いや感情、気持ちを想像して思いやる力が同年代の子どもや人たちよりも未熟で、言葉の裏にある真意や感情を感じ取ることが苦手であるために皮肉や比喩を言葉通りにストレートに受け取ってしまったりする傾向がある。自分の好きなことや興味のあることには素晴らしい集中力を発揮し、好きな教科の勉強では普通の同級生たちよりも優れていたりするが、対人関係や突発の出来事に際しての融通がきき難い傾向がある 〕
 
学習障害(LD)

・読む、書く、計算するなどの能力のうち、いずれかに支障をきたす
〔 話すことは普通にできるのに、極端に読めない、話したり読んだりはできても、なかなか文や文字を書けない、話したり読み書きは普通にできるのに計算はできない、あるいは非常に遅い…といった傾向が小さい頃からずっと続いている 〕
 
知的障害(精神発達遅滞)

・全般的な知的能力に遅れがある。
 
 発達性協調運動障害
 
・うまく走れない、ハサミが使えないなど、運動や手先の作業に困難をともなう
〔 手先の作業などが極端に不器用で、手足の連動したような動きや別々の動きがしにくく縄跳びなども苦手 〕
                           (波線と〔 〕は引用者)
 
      『発達障害を見過ごされる子ども、認めない親』 幻冬舎新書 p.14〜15
 

ただ、ここに列挙した説明を見ただけではピンとこない方も少なくないかも知れません。小さい子どもはだいたい落ち着かなかったり集中力が続かなかったりするものですし、普通の大人でも感情的な人は結構いるからです。けれども、発達障がいかも知れない…という判断は、同年齢の他の子どもたちと比べても落ち着きのなさや集中力のなさ、衝動性が際立っていて、その状態が成長していっても年齢に応じた改善があまり見られなかったりする場合は注意が必要です。また、こだわりが強すぎて融通がきかず、日常生活において相手との関係で極端にトラブルが多かったりする、といったような通常の定型発達の子たちとの比較において極端な差が長期にわたって目立つ場合に注意する必要がある、ということになります。
 
星野さんも指摘していますが、同じ「発達障がい」や「ADHD」という言葉でくくったとしても、それぞれのケースは人によってその差はまちまちで、複数の障がいを併せ持つ場合も少なくありません。ただ、感情のコントロールがし難かったり、授業中など常識的に考えれば集中しなければならない時にうまく集中できない(集中する「ふり」すらもできない)ような場面が多くみられたりします。また、相手の様子や表情から相手の思いや感情をうまく読み取れなかったりする、といったことからコミュニケーション能力に難があり、他者との関係をなかなか上手に結べなかったりするケースが多いようです。それに、普通の感覚では気にならないようなところで強いこだわりを示したりする場合も多いように思われます。
 
それから、聴覚や視覚的記憶などある種の感覚的な部分では一般の人々よりも優れている場合があります。優れているがゆえに他の子が聞こえない音が耳に入ってきたり、他の子が自然に無視してしまうようなことが無視できなかったりもします。そしてそのために他の人が無視しているところや無視できることにこだわってしまったり、逆に集中できなかったりして困ったりイライラしたりすることもあるようです。
 
過去においては、一部では普通の子たち以上に優れている面があったり日常のことはそれなりにこなしたりすることなどから、育て方(特に母親)が原因だとの誤解があり、家族や学校などから母親が責められることが少なからず見受けられたようです。けれども、最近の研究で、脳内の微細な傷や神経のつながり難さが原因らしいということが分かってきています。また、遺伝的な要因や環境ホルモンなどの影響なども指摘されています。
 
もちろん、遺伝がすべてではありません。置かれた環境によっては普通の人には出来ない素晴らしい仕事をする場合もあり、発達障害だから問題だ、ということではないのです。モーツァルト、ニュートン、ダーウィン、エジソン、アインシュタイン、チャーチル、ルイス・キャロル、エリック・サティ、太宰治などは今の診断基準であれば発達障がいの範疇に入ると考えられているようですし、俳優のトム・クルーズも文字を読む能力に問題を抱えているLDであるとのことです。
 
さらに星野さんは『発達障害に気づかない大人たち〈職場編〉』という著作の中で、大人の発達障がいの特徴について次のようにまとめています。

ADHD

ADHDを理解するうえで最も重要になるのは「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの特徴です。
 
@不注意 ― 気が散りやすく、集中できない
 
不注意はADHDの中核的な症状です。気が散りやすく、1つのことに長い時間注意を集中できません。これは、脳の軽度の機能障害によって、目が覚めているときでも、自分の興味や関心のないことには覚醒レベルが低下して、注意散漫になってしまうためです。
 
具体的には
・会議の最中などにボーッとする/人の話を最後まで聞けない、自分の言いたいことだけを一方的に話してしまう/やるべきことをさいごまでやり遂げられず、何もかも中途半端になってしまう/忘れ物やうっかりミスが多い/仕事や雑務が計画的にできず、日課をこなすのが苦手/信号の見落としなどで事故を起こしやすい/機械や器具の操作ミスが多く、産業事故や労災事故につながりやすい
などの特徴があります。
 
A多動性 ― いつも落ち着きがなくソワソワしている
 
他動性の特徴を一言でいえば、「せっかちで、いつも何かしていないと落ち着かない」です。
 
このため
・長時間じっとしているとイライラする/用もないのにウロウロ歩く/すわっていても頻繁に姿勢を変えたり、手足を組み直す/貧乏ゆすりがひどい、指でコツコツ音を立てる/早口で絶え間なく一方的にしゃべる
などの傾向が見られます。多動傾向は、大人になるにつれてだんだん目立たなくなり、「何となく気ぜわしくソワソワしている」という別の形をとるようになります。
 
B衝動性 ― 後先考えずに思いつきでパッと行動してしまう
 
何か思いついたら後先考えずに行動し、失敗、トラブルなどを繰り返すのが衝動性の特徴です。命にかかわるなど、しばしば深刻かつ危険な影響を本人や周囲に与えます。
 
具体的には、
・キレやすく、些細なことで怒りが爆発する/TPO(時と場所、場合に合った方法)をわきまえた振舞いができない/そのときの思いつきや気分でパッと発言したり、行動したりする/その場にそぐわない”KY”(空気が読めない)発言をして顰蹙を買う/思ったことをすぐに口にするため、しばしば相手を傷つける/仕事でも突発的なミスを繰り返す/たびたび交通事故を起こす/ギャンブルや衝動買いに走りやすい/アルコール、タバコ、カフェインなどの嗜好に走りやすい/その場の雰囲気や勢いで異性と関係を持ちやすく、浮気や不倫が多い/唐突で無遠慮な言動から家庭内でもパートナーや子どものとのトラブルが多い/家庭内(夫婦間)暴力(DV : Domestic Violence)や児童虐待に走ることがあるなどが指摘できます
ADHDは、不注意、多動性、衝動性の現れ方によって@不注意優勢型A多動・衝動性優勢型B混合型の三つのタイプに分かれます。

広汎性発達障害(PDD)
広汎性発達障害(PDD)は包括的な概念で、そこには自閉症、高機能自閉症(HFPDD)アスペルガー症候群(AS)などが含まれます。中でもPDDを代表するのがアスペルガー症候群(AS)です。
 
ASには多動、不注意、衝動性、感情の不安定性、低いストレス耐性、対人スキル・社会性の未熟などADHDと共通する特徴があります。しかし、ADHDには見られない―あるいはADHDに比べてより顕著な―特有の問題もあります。ASを含むPDDには、英国の児童精神科医ローナ・ウイングは@社会性の問題Aコミュニケーションの問題B想像力の問題 という「三つ組の障害」があります。AS、ADHDとも人間関係では苦労しますが、ASは社会性の三つ組の障害を抱える分、より社会適応はむずかしくなります。
 
ASにはこのほか特有の症状として、感覚過敏・過鈍性の問題や協調運動(縄跳び、キャッチボールなど、体の複数の部分を同時に動かして一つの動作を行うこと)の不器用さがあります。
 
@社会性の問題 ― 人と親しくなる気がない
 
ASの人は深い人間関係を築くのが苦手です。ADHDも対人関係は不器用ですが、人と親しくなりたいという意欲はあります。それがうまくできないのがADHDです。
これに対してASは、そもそも人と親しくなりたいという意欲が希薄です。人とどう接すればいいか、人前ではどう振舞えばいいか、集団・組織においては何が大事かなど、普通であれば成長の過程で自然と身につくはずの社会性が著しく欠ける傾向にあります。
 
具対的な特徴としては、
・友人がいない/人と会話していても、視線をあまり合わせない/身振り、手振りの表情が乏しい/雰囲気や空気を読めないため、その場にそぐわない言動をとる/暗黙のルールがわからない/人と協調した行動がとれない/マナーや社会常識が身についていない
 などが指摘できます。
 
Aコミュニケーションの問題 ― 言葉のキャッチボールができない
 
ASの人は、自分の言いたいことだけ話して、相手の話には興味や関心を示しません。会話が一方通行で、言葉のキャッチボールが成立しないのです。
 
具対的な特徴としては、
・人の表情や態度、身振りなどから相手の気持ちをくみ取れない/会話の仕方は形式的で、同じ言葉の繰り返しや独特の言い回しをする/話し方に抑揚がなく、会話の間も取れない/話が回りくどく、細部にこだわる傾向が強い/話があちこちに飛ぶ/含みのある言葉や裏の意味がわからない/言葉の意味を字義通りに捉えるので、冗談やユーモアがつうじない
 などがあります。
 
B想像力の問題 ― 1つのことに強くこだわる
 
ASの人は想像力の欠如のため、新しいことには不安が強い一方で、自分の興味のあることに強いこだわりを持ち、極端にのめりこんで、マニアックにやりつづける傾向があります。この「過集中」と「こだわり」はADHDにも見られる傾向ですが、ASの場合はそれが特に顕著です。
 
それがプラスに出れば、無類の集中力につながりますが、マイナスに出ると、自らのこだわりに縛られてしまい、応用や融通がきかなくなってしまいます。
 
具体的には、
・興味や話題が限られ、範囲が狭い/特定の習慣や手順、規則、規律などに強くこだわる/変更や変化、予期せぬことを嫌う/突然、予定を変えられると不機嫌になったり、パニックになったりする/頑固な思考パターンで、柔軟な発想に欠ける/白か黒か、全てか無かの二者択一、完璧主義の思考になりやすい/融通がきかない/自分のやり方にこだわり妥協しない
 などの特徴が見られます。
 
C感覚過敏・過鈍性の問題 ― 感覚の異常で偏食になることもある
 
ASの人は聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚に異常に敏感だったり、逆に鈍感だったりします。また気圧や温度の変化に過剰に反応する人もいます。
 
特徴としては
・味覚、嗅覚に過敏に反応するため、食物の好き嫌いが多い/人から触られることに異常に敏感である/痛覚が鈍く、自傷行為を繰り返すことがある/ある種の音を極度に嫌ったり、逆に好んだりする/自分の体がにおっていても気づかない
 などがあります。
 
D協調運動の不器用さ ― 縄跳びやひも結びなどが上手にできない
 発達障害では、スポーツや手先を使う作業などを苦手とする人が少なくありません。ASやPDDでは、その傾向が顕著な場合があります。

       『発達障害に気づかない大人たち《職場編》』 祥伝社新書 p.28〜41
 
 
これらは、あくまでも参考であり、小さい頃から発達障がいの特徴を示していたかどうかの確認なども必要で、専門家にきちんと判断をしてもらうことが大切です。そして、本人にしても周囲のサポートする人々にしても、発達障がいという現実を「受け入れ」「認める」ことから状況の改善に向けての道がスタートします。そして、サポートしてもらうことで状況を改善し、さらにその特徴を生かして周囲の人々や社会にプラスになるような活動や仕事が可能になっていくのです。



2011年09月13日(Tue)▲ページの先頭へ
発達障がいと不登校・高校中退や就労@
 
はじめに 
 
登校・ひきこもりの相談の場で家族の方から話をうかがっていると、当事者の発言や行動の様子などから、もしかしたら何らかの発達障がいも関係しているのではないか、と感じることが時々あります。また、学校の現場の様子から、あくまでも個人的な感触ではありますが、発達障がい圏の児童・生徒が以前に比べて増加している傾向があるようにも思えます。そのため、去る5月29日にアスト津で発達障がいと不登校・ひきこもりについての話をしました。ただ、その際には内容的には小中学校の年齢までの話が中心で、高校や就労についての話はできませんでした。そこで今回は、発達障がいということをベースにおきながら不登校やひきこもりの問題と高校中退や就労について考えていくという形で前回述べられなかったところまで踏み込んでみたいと思います。
 
 


2011年09月12日(Mon)▲ページの先頭へ
伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会例会案内 (9月)
ぼちぼちいこか
 
(伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会

 
ぼちぼちいこか 志摩例会

日時 9月18日(日) 午後1時30分〜4時30分
 
会場 志摩市阿児町鵜方1975
志摩市鵜方公民館 1F図書室(または小会議室)

 
(近鉄鵜方駅北口下車・徒歩数分)
 電話…0599-43-2211

浜口 / 電話…0599-85-2752
E-mail…ZAN20571@nifty.com
 
子どもみらい会議 伊勢例会
 
日時 9月17日(土) 午後7時〜9時 
 
会場 いせ市民活動センター南館2F

(伊勢税務署横・外宮前交差点のそば)

   
【ちょっとオススメbook】
杉山登志郎 著
『発達障害のいま』
講談社現代新書 2011年 \760+税
不登校・ひきこもりやNEETと発達障がいの関連性については5,6月の連続講演でも説明しましたが、『発達障害の子どもたち』で発達障害についてわかりやすく整理してくれている著者が、臨床現場でのさらなる経験をベースに、最新の発達障がいについての現場の状況や対応、新しい臨床現場での分類、トラウマや二次障害との関係などを現場での事例もあげながら整理してくれている本です。


2011年09月03日(Sat)▲ページの先頭へ
9月の三重フレネ研究会は一週間延期
三重フレネ研究会
 
9月例会は、台風のため9/3から9/10に一週間延期します。時間・場所の変更はありません。


2011年09月01日(Thu)▲ページの先頭へ
三重フレネ研究会 9月例会案内
三重フレネ研究会
 
〈9月研究会の提案 〉
 
9月3日(土)  午後3 : 30 〜 6 : 00 
三重大学教育学部2F
 
グループプロセス室
(教育学部道路側階段を上がった右角)

・会場は教育学部2Fのいつもの部屋になっています。正門横の駐車場から向かって左の建物の階段横にある教室です。校舎の入口がしまっていますので、佐藤もしくは浜口の携帯まで電話して下さい。
 
《テーマ》 発達障がいとフレネ教育
 
 浜口 拓
 (浜口心理・教育研究所)
 
・5月、6月にアスト津で行った発達障がいについての講演原稿をベースに、新しい発達障がいについての分類なども補足しながら、フレネ教育の実践の中で可能となる対応についてもまとめてみます。
・台風の状況によっては中止もしくは延期になります。その際は当日の午前中にこのblogに中止連絡を入れますのでご確認をお願いします。


   


【サークルぼちぼちいこか/伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会】は、事務局の浜口が、【三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会】(三重県・考える会)の世話役をしていたところ、「伊勢志摩にも家族会を!!」という声が上がったため作られたものです。


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浜口 拓/志摩市志摩町片田で小中高15校20年の経験とフレネ教育やカウンセリングの知識を生かした《浜口塾》を開いています。教育相談にも応じます。また文学活動などもしています。よろしければ【TAC雑想記】 【TAC文芸樹】のblogも覗いて下さい。

カレンダ
2011年9月
       
 

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