blogぼちぼちいこか/伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会 - 2014/08

サークルぼちぼちいこか/伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会




2014年08月30日(Sat)▲ページの先頭へ
災害弱者としてのひきこもり
災害弱者としてのひきこもり
 
 
 
4月の伊勢志摩不登校ひきこもりの会・伊勢例会に、愛知県立大学教授の清水宣明先生に来ていただき、災害に際してのお話をいただきました。それ以降、三重県内に地震や津波の大規模な災害は起こっていませんが、大雨や洪水については、何度か避難勧告や避難指示が出されています。現時点で、そうした被災したり非難したりした場において引きこもりであったことにより亡くなったとか、負傷したとか、トラブルになったという話は聞いていません。しかし、東海地震や東南海地震や南海地震あるいはそれらの連動がいつ起こっても不思議ではないと言われていることや、狭い地域に多量の雨が短時間で降るというゲリラ豪雨が日本でも増えていくだろうと言われている現在において、不登校やひきこもり、ニートの問題に関わる私たちは、災害とひきこもりについて考えておく必要があります。そこで今回は、災害とひきこもりの問題について考えていこうと思います。
 
清水先生は、伊勢例会の時のお話で、災害弱者としてのひきこもりの人々について、次のように整理してくれています。
  
  
  
【ひきこもりの方】
・周囲との関係の低下・欠如、不安状態
・詩罰的な意欲ある行動の低下・欠如
・現実感の乏しさ、自分の内的世界
・セルフケア不足、清潔維持の困難
・無為、自閉の状態
 
    ↓
 
・知識や情報の不足
・思考と判断の低下
・行動力の低下と躊躇
・ひきこもり状態の打破の困難、恐怖感情
・避難環境への適応の困難
 
    ↓
 
逃げない、逃げられない、逃げ遅れる
  
 
  
防災について専門家ではない私たちですが、清水先生のご指摘は、なるほどなあ、とうなづくものばかりです。実際、東北の大震災と津波、その後の原子力発電所の事故という大災害の時に、引きこもりだったので逃げなかったという話や、一度は避難所に行ったが対人関係の問題でまた自宅へ戻ってしまったという話も耳にしています。だからこそ、災害から生き残るためにも、災害の後も生き続けるためにも、本人はもちろん、家族や支援者の方は、一般の防災対策に加えて、ひきこもりの人々と共に生き残り生き続けるためのプラスαの準備が必要となるのです。

では、どう考えてどのような点に注意をして準備をしていったら良いのでしょうか。
 
災害についての基本的な知識は一般の方も、意外とあまり分かっていないことが少なくありません。私の自宅は海抜15メートルとある程度高い所にあり、20メートルと離れていない所に第一次の避難場所があり、その後目指すのは徒歩で10分ほどの小学校になります。けれども、自宅には長距離歩行の困難な母がいますので、地震などの時は、当然、倒れた塀や壁などの障害物が道をふさいでいる可能性があるため10分での移動は困難です。この程度のことは分かりますが、その他のこととなるとあまり自信がありません。
 
皆さんはどうでしょうか。ご家族の暮らす家やアパート、マンションは海抜どれくらいのところにあるでしょうか。最も近い第一次の避難場所はどこにあるでしょうか。最終的にはどこに避難したらいいのでしょうか。持ち出すものは何でしょうか。避難の際何らかの形でサポートが必要となる家族は何名いるのでしょうか。こういったことを完全に知っていて、いざという時にはすぐに行動に移せる方は、もしかしたらそれほど多くはないのではないでしょうか。
 
けれども、ひきこもりの当事者はこれにさらに悪い条件が加わります。このような災害関係の知識や情報に興味や関心を持っているひきこもりの人は非常に少ないと思われます。だから、自ら知識や情報を得ようとしないだろうし、そうした知識や情報を話したり提示したりしても、話を聞かなかったり何も見ようとしなかったりする対応が少なくないことが予想されます。現実認識の弱さや、自己肯定感の低さがベースにある「生き残ろう」とする意志や意欲の弱さなどがそうなる原因の一つではないかと考えられます。「自分なんかは生きている価値がない。死んだって誰も悲しまない。どうなってもいい」という考えを持っていて災害に遭えば簡単に死んでしまう可能性もあるのです。災害による死はそれなりに強い決意や意志が必要な自殺よりもシンドクナイ……と、今、現在の時点では、感じているかもしれないからです。
 
だから、こうした本人の中にある心の壁を崩し、何とか本人に知識や情報を獲得させ、それを元に本人が災害時に「生き残る」という決断をして、生き残るための判断や行動が出来るようにしていくことが、家族や支援者には必要だということになります。もちろん、それが簡単にできる訳ではありません。けれども、命を守るために、やっていかなければならないのです。
 
では、家族や支援者という立場で、具体的にどのようなことができるのでしょうか。あるいはとういったことから始めればいいのでしょうか。不登校やニートがそうであるように、一口に「ひきこもり」という言い方でくくっても、その実態は一人ひとりすべて違います。だから、その人本人と向き合い、付き合いながら、よりBETTERな方法を模索していくしかない、というのが実際のところです。それでも、ある程度共通するようなポイントをいくつか考えてみたいと思います。
 
まず、本人が家族や支援者にとって大切な存在であり、亡くなってしまったら悲しい、という事実をきちんと伝え、自分のためだけでなく、周りの人のためにも生きるための努力をして欲しいと願っているということも併せて話していくということです。それによって、本人が「自分が他者にとって大事な存在なのだ」という感覚を得ることができれば、そのことが自己肯定感や生きようとする意欲につながっていくでしょう。
 
次に、その具体的な努力として、第一次避難場所や最終避難場所にまで一緒に歩いて行ってみるということもできればしておきたいと思われます。地震や津波、洪水な大規模災害に際しては、車などは使いにくくなる可能性も高くなります。だから、実際に歩いてみるのはとても良いことです。それによって、避難経路の危険箇所も確認できますし、かかる時間のおおよその目安もつかめます。(実際に災害が起きた時は、道の状態も悪くなっていることがあるだろうし、けがをする場合もあるので、時間はもつとかかると考えておいた方が良いでしょう。)また、実際に歩いてみることによって、ルートが寸断された時の回り道等も見当をつけることができると思われます。
 
また、何とか避難ができたとしも、避難所で過ごす時間が長期化していくと、特に対人関係に関わるストレスも大きくなってくると予想できます。けれども、事前に話をしたり、知識や情報を得たりすることで、多少なりともストレスを軽減することは可能です。
 
もちろん、実際にその時になってみないとわからないことはたくさんあります。それでも、意識的に備えることで、問題を多少なりとも軽減することが出来ます。自分たちが知っていることと知らないことを確認し、知りたいことをはっきりさせる。そして可能な範囲で、調べておく。困った時には、どういう機関やどういう人に相談すれば良いかを知っておくというようなことも大事です。使えるもの、必要なもの、不足しているもの等も、ある程度きちんと整理してあれば、様々な活動がより素早く出来るようになります。
 
例えば、火事になった時にあわてて110番に電話してしまったとしても警察は消防に連絡はしてくれるでしょうが、連絡が遅くなれば消火活動もそれだけ遅れます。最初から落ち着いて119番通報ができればその方が早い、というのは誰でもわかります。事前にきちんと準備がしてあれば、何もしてない場合よりも落ち着いて行動できる可能性は高くなります。
それに、被災して何とか避難した場所で、たまたま何かの手伝いを頼まれて、それをやった結果多くの人に感謝され、それが自尊感情を高め、前に進むきっかけになる、というような可能性も考えられます。フクシマでも、学校で素行の良くなかった生徒たちが、避難所でトイレのための穴を掘る手伝いを頼まれ、それをやったところ、多くの人たちに感謝され、よりいっそう、皆のためになる活動をがんばったというような話も聞いています。被災するのは不幸なことですが、それが生きていく上でプラスになる何かを生み出すきっかけにつながることもあるのです。
 
そのためにも、まずは災害時に生き延びることが大切になります。そのために、今できることを少しずつ積み上げていけるように努力できれば……と思います。
                                  〔おわり〕

この文章は、2014年4月の伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会の伊勢例会で、愛知県立大学の清水教授にお話しいただいた内容から浜口が理解したことをまとめたものです。






三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会 例会案内(9月)
三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会

(三重県・考える会)
 
 
9月の例会

日時 : 9月14日(日)  13:30〜16 : 30
 
会場 : アスト津 3F ミーティングルームB
 
 
講演 夏休み後の子どもたち 
  …休みだす子ども達のタイプと周りの対応…
 
西田吉男 (臨床心理士 / 西田心理研究所 主宰)
 
・前回好評でした大阪の臨床心理士・西田吉男先生の講演会です。
・夏休みが終わってから学校を休みだす子どもたちをタイプ別に整理した上で、それに対する周囲の人たちの対応についてもお話していただきます。
・例会後、スタッフによる不登校・ひきこもりの個別相談も受け付けます。



三重フレネ研究会 例会案内(9月)
三重フレネ研究会

〈9月研究会の提案 〉
 9月6日(土) 午後3 : 30 〜 6 : 00
 三重大学教育学部2F グループプロセス室
     (教育学部道路側階段を上がった右角の部屋)
 
・会場は教育学部2Fのいつもの部屋です。正門横の駐車場から向かって左の建物の階段横にある教室の奥です。校舎の入口がしまっていますので、浜口まで電話して下さい。
 
 
《テーマ》
 RIDEFイタリアで見たものと考えたもの  
 
・京大院生の鈴木さんによるイタリアで開かれたRIDEFに参加しての報告です。本、写真、文集、プログラムetc、持ち帰ったものを全部持ってきて下さるとのことです。



2014年08月06日(Wed)▲ページの先頭へ
伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会 例会案内(8月)
伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会


ぼちぼちいこか 志摩例会
 
日時 8月17日(日) 午後1時30分〜4時30分

会場 志摩市阿児町鵜方1975 志摩市鵜方公民館
    2F小会議室(または1F図書室)
 (近鉄鵜方駅北口下車・徒歩数分) 
             電話…0599-43-2211
浜口 / 電話…0599-85-2752 
E-mail…ZAN20571@nifty.com 
 
子どもみらい会議 
  イベント いせギーク・カフェ
  
日時 8月9日(土) 午後1時〜6時 
   
会場 いせ市民活動センター北館
 (伊勢税務署横・外宮前交差点のそば)



【三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会】
  今後の予定
9月14日(日)     13 : 30 〜 16 : 30 
   会場 : アスト津3F ミーティングルームB
講演 夏休み後の子どもたち
    …休みだす子ども達のタイプと周りの対応…
   西田吉男 (臨床心理士 / 西田心理研究所 主宰)
・前回好評でした大阪の臨床心理士・西田吉男先生の講演会です。
・夏休みが終わってから学校を休みだす子どもたちをタイプ別に整理した上で、それに対する周囲の人たちの対応についてもお話していただきます。
・例会後、スタッフによる不登校・ひきこもりの個別相談も受け付けます。


 
【ちょっとオススメbook】
福島 哲夫 著
『ユング心理学でわかる8つの性格』
PHP研究所 2011年 \1300+税
外向的か内向的か、思考・感情・感覚・直観のどの機能を優先して使う傾向があるか、と
いうことでユングは人の性格を8つに分類しました。簡易テストも付いていますので、自分がどのタイプでどのような特徴があるかを知り、周囲の人がどのタイプで、どんなこと
に気をつければ関係がうまくいくか、ということについて8つのタイプ別に書かれている本です。自分自身をよく知るとともに、対人関係の面でも意外と参考になりそうなことも
書かれています。占いなどとは違いますが、わりと軽く読めて面白く、人間関係の参考に
も出来そうな本です。


   


【サークルぼちぼちいこか/伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会】は、事務局の浜口が、【三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会】(三重県・考える会)の世話役をしていたところ、「伊勢志摩にも家族会を!!」という声が上がったため作られたものです。


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浜口 拓/志摩市志摩町片田で小中高15校20年の経験とフレネ教育やカウンセリングの知識を生かした《浜口塾》を開いています。教育相談にも応じます。また文学活動などもしています。よろしければ【TAC雑想記】 【TAC文芸樹】のblogも覗いて下さい。

カレンダ
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