blogぼちぼちいこか/伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会 - 2015/03

サークルぼちぼちいこか/伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会




2015年03月30日(Mon)▲ページの先頭へ
学習のサポート2015 A
 
環境を整える大人の接し方
 
 
本人の学習を進めやすくするには、環境を整えることも大切です。例えば、「勉強しなさい」ということは、環境を整えることになっているかどうかを考えてみましょう。中学の頃、テレビの番組が終わり、そろそろ勉強をしようかな…と考え始めた矢先に、母に「そろそろ勉強せなあかんぞ」と言われて、途端にやる気をなくしてしまったことが何度もありました。同じような経験のある大人の人は、けっこう多いのではないかと思います。
 
そうしたことから考えると、「勉強しなさい」ということは、必ずしも「良い環境を整えることになっていない」と言えそうです。中学や高校という、そろそろ自立心が芽生えてくる年齢では、「勉強をしなさい」という言葉は、親からの押し付けと受け取られ、返って反発されることも少なくないのです。特に、「勉強をしなさい」と言うだけの場合は、その傾向が強まります。口だけではなく、他に何か出来ることはないか……ということを考えて、可能なサポートは実際に実行することが大切なのではないかと思います。
 
大人が、子どもに「勉強しなさい」というのは、もちろん、子どもの将来を心配しての言葉です。でも、そういうだけで自分はテレビを見ていたりマンガを読んでいたりしては、それは子どもには伝わりません。説得力がないのです。それに、テレビの音が気になって勉強に集中できないようなことも出てくるでしょうし、子どもの心に「何で俺だけ? 自分はテレビを見ているくせに」というような思いがあれば、反発や怒りが生じ、結局、勉強に集中できなくなってしまうのです。
 
では、どうすれば良いのか。まず、子どもが勉強に集中できない理由を考えてみることです。よく観察してみると、何となく理由が見えてくることがあります。他の家族がテレビを見たりゲームをしたりしていると、自分もそうしたくなって集中できなくなる場合、1人でするのが何となく不安で、ちょっと傍についていて欲しい場合、苦手な問題だけが残っていて1人では解く自信がないので誰かに教えて欲しいと思っている場合、実は勉強の仕方がまったく分からなくて途方にくれている場合など、様々な理由が考えられます。観察によって、それらの理由をある程度特定できれば、どうしたらよいか……という点もある程度分かってくるでしょう。
 
例えば、テレビの音が気になるなら、テレビを切ったりヘッドフォンを使ったりして音が漏れないように見る工夫ができますし、1人でやるのが不安なら、本でも読みながら同じ部屋にいるように心がけるだけでも意識は違ってくるでしょう。教えて欲しいと考えている問題があるなら、可能であれば教えてあげたり、一緒に考えてあげたりすることもできるでしょう。
 
そして、ある程度自我が育っているようであれば、危なっかしくみえても、歯がゆく感じられても、大人の側がそこをぐっと我慢して、「余計な一言」を言わずに、子どもの勉強しようとする意欲を信頼してあげることも大切です。あまり勉強を苦にしていない子どもたちに話しを聞いてみると、「あまり、勉強しなさい」とは言われない、とか「自分の将来のことやから、自分で勉強しようと思ったらしたら?」などと言われている、という声が聞こえてきたりします。家で、何らかのお手伝いを日常的にしているような例もありました。そうした意味において、本人が意識して始めると意欲もついてきますし、大人に言われてイヤイヤやるよりも集中しますから、学習内容もずっと身に付きやすくなります。
 
その子の様子や状態をよく知り、状況や年齢に合わせて接してあげることが大切だし、大人の側が「勉強しなさい」を連発するよりも、一歩ひいて、学習しやすい環境を整えるサポートに回ることが、本人にとっても大人にとっても良い結果をもたらすのではないかと思います。
 
 
 
学習の仕方とそのための工夫
 
 
それでは、「勉強の仕方が分からない」と言ってくるような場合はどうでしょうか。けっこう有効なのは、丁寧に音読することです。私自身の例でも、こんなことがありました。大学入試を数ヵ月後にひかえた段階で、どうしても物理が分からなくて、受験科目を物理・化学から生物・化学に変えました。でも、あまり時間もなかったので、生物の勉強は高校の教科書を隅から隅まで丁寧に読むことしかできませんでした。しかも、丁寧に読むにはけっこう時間がかかりましたので、せいぜい数回呼んだだけだったと記憶しています。が、共通一次試験(今は大学入試センター試験になっています)では、生物は80点、好きな教科でどちらかと言えば得意であったはずの化学よりも1点だけ点数が高かったのです。
 
国語や社会、英語などの教科でも音読は重要です。塾に、新しい生徒が入って来た時に、私は、英語の力量をさぐるのに、教科書を音読してもらいます。読む際に、きちんと言葉のかたまりを捉えて音読できればかなり実力がありますが、単語の途中で平気で切ってしまうような読み方をしていれば、少し聞いただけで英語を苦手としていることが理解できます。そんな子でも、きちんと言葉のかたまりを捉えて音読できるようになってくると、英文和訳もきれいな日本語になってきます。英語でも、言葉のかたまりをとらえて上手に音読できるようになれば、感覚的にけっこう分かってくるのです。
 
音読の他にも、英単語の練習や漢字の練習、計算の練習などは、教科書とノートがあればそれなりにできます。とりあえず20分、机の前に座って勉強する習慣をつける……といった行動目標の段階であれば、音読や漢字・英単語の練習、計算の練習などは、あまり深く考えずに取り組める勉強の代表的な例ではないかと思います。また、パソコンが得意な子であれば、エクセル(別にワードでも良いのですが、エクセルの方が回数を数えるのは楽です。)を使って、英単語の練習をする……などというやり方もあります。綴りを書くのも、綴りをタイプするのも同じように綴りの確認にはなるからです。
 
勉強のやり方がわからない/実は学習習慣そのものも身についていない……という場合は、こうした「勉強のやり方」を教えると共に、一緒の部屋で本を読んだり編み物をしたり……といった気の散らないような事をしながら、口出しをせず見守ってやるのも1つの方法ではないかと思います。
 かけ算の九九を自由に使いこなせるようになってから割り算や筆算ができるように、ある
程度の知識が頭に入ってくる、それを使うことによって記憶がいっそう堅固になったり、知識が深まったりするのです。そうした意味で、【まとめる】という学習活動は、一段上の学習ステップとして考え、使っていけるものです。
 
本を読んで分かったつもりになっていても、実際、問題にチャレンジしてみるとできないことがあります。覚えていたはずのことが出てこなかったり、分かっていたはずなのにできない……そんな時には、まとめることによって頭の中で整理ができ、記憶を強化したり理解を深めたりすることができます。
 
第一次世界大戦後フランスで生まれ、『窓際のトットちゃん』に出てくるトモエ学園の小林校長先生も強い影響を受け、現在でもフランスはもちろん世界の20カ国以上の国で実践をされているフレネ教育の日本の実践で《アルバム作り》というのがあります。自分たちで調べたことをまとめ、加工して、1冊の手作りの本を作るのです。本の作者は、それを作る過程で、見てくれる人が分かりやすいように、おもしろくなるように、というような思いで工夫を加え、自分が調べ、学んだ知識を加工していきます。その活動のすべてが、知識をより扱いやすい形に整理したのより深く理解したりする学習活動になります。そして、出来上がったアルバムという手作りの本は、読み手の学習に役立つと同時に読み手と書き手、読み手と別の読み手の関係をつなぐ架け橋ともなります。
 
もちろん、そこまで「まとめる」にはそれなりに時間が必要となりますし、上質の「作品」を作るためには「日常的な活動」にしながら作品や子どもたちの交流を促すなどの工夫も必要です。が、自分なりにまとめることで、新しい関係が見えてきたり、自分が覚えやすい形で整理できたりもします。
 
例えば、聖徳太子と徳川吉宗は同じ事をしている……と言われると驚くかも知れません。でも、そう述べるにはこのような理由があります。聖徳太子は「冠位十二階の制定」によって、徳川吉宗は「足高の制」によって、共に家柄にとらわれない実力本位の人材登用を行ったのです。ただ、暗記しているだけでは見えないことが、氏姓制度や幕藩体制によって身分・家柄・職業がガチガチになっている社会を改革するために、家柄にとらわれず実力のある人々を登用しようとした2人の苦心が見えてきます。そして、それが整理できた時、不思議なことになかなか暗記できなかった「足高の制」がしっかりと頭に入っていたりするのです。
 
大人の側がこうした学習についてのことが分かっていれば、「今の段階なら、これをしたら?」とか「こんなことができそうじゃないかな?」といったアドバイスができます。大切なのは強制ではなくアドバイスです。そして、うまいタイミングで適切なアドバイスがあれば、けっこう勉強を続けていけるものです。
 
ある中学校で、学年全員が校舎のあちこちでスケッチをしていた時、美術の先生とは別に、生徒達の間を回ったことがありました。時々、飽きてしまって遊んでいる子がいたのですが(たいてい「できた」とか言って遊んでいます。で、普通だと美術以外の先生のコメントは「もっと丁寧に描け」くらいで終わります。)、その子の作品と描いている場所を見比べながら「ここはこうなってるよね」と言ったり、「鉛筆はこういう使い方をするとやわらかい線が描けるよ」と言うようなアドバイスをしたりすると、ほとんどの子が再び熱心に書き始めました。「丁寧に描きなさい」という言葉では動かなくても、具体的にどうしたら良いかが分かると、けっこう集中してやれるものなのです。
 
これは、「勉強」でも同じです。「勉強しなさい」と言うだけでは、そうそう勉強は出来ません。本人は意識していなくても、実は、どうしたら良いか分からなくなっている場合は、意外と多いのではないでしょうか。だから「勉強しなさい」という言葉を言いっぱなしで放っておくのではなく、具体的にアドバイスをすることが大切なのです。
 
 
 
無理のない計画と学習の継続
 
 
それから、細かいステップを意識化するために、計画を立てることも良い方法です。ただ、本人や周りの大人に焦りがあると、無茶な計画や無理な計画を立ててすぐに続かなくなり、やがて諦めてしまいます。そうなってしまわないように、冷静な大人の目で今の目の前の子どもの現実を見極め、無理のない続けられる計画を立てるように持って行くことが大切なのです。
 
例えば、それまで30分すらも勉強できなかった子が突然5時間……という勉強時間の計画を立ててもすぐに挫折しまうのです。25年ほど前の話になりますが、学校の先生に「行く高校がない」と言われて、青くなったお母さんと一緒に私の塾に来た中学生の子がいました。私は、「お母さんも、毎日5時間なんて無理でしょ?」という話をして、その子と「とりあえず、毎日1時間勉強することを目標にし、出来るようになったら、少しずつ増やしていこう」という話をしました。
 
その子はその目標ならできそうだと感じたのか、毎日勉強を続け、やがて少しずつ勉強時間を延ばしていきました。ところが、その子は、10月頃に骨折して一ヵ月ほど入院したのです。ご両親は「受験に向けて大切な時期なのに」と慌てたのですが、その子は「毎日、マンガではない普通の本や勉強の本を読みなさい」という私のアドバイスをきちんと守り、退院後の模擬テストで前回よりも良い成績をとりました。そして、地元の高校に無事入学を果たしたのです。
 
フレネ教育の実践でも、学習計画表を立てる……というものがあります。先生や大人の都合ではなく、自分のペースを大事にしながら自分で計画を立て、達成できたら次へ進み、出来なければ計画を修正してさらに時間をかける。それを子ども自身だけでなく、クラスの仲間たちからも確認してもらいながら進めていくことで、意欲を持って学習に取り組んでいけるのです。
 
もちろん、1人で計画を立てるのが難しい場合は、友達や先生のアドバイスを聞きながら一緒に作っていくこともできます。守るための学習計画、こなすための学習計画ではなく、学習をする目安としての計画を立てることで、修正を加えながら、自分にあった「学習」を少しずつ組み立てていけるようになるのです。
 
また、中三の3学期ではちょっと使えない方法ですが、新学期に照準を合わせて、四月からやる勉強を先に予習してしまう……というのもちょっとした裏ワザです。そうすることで、四月に復帰した時、他の生徒よりもそこの勉強かよく分かるようになり、それが自信につながるので気分的に復帰のプレッシャーが小さくなるのです。
 
特に、ある程度進みたい道や学校がはっきりしている場合は、その道や高校へのステップということで意識化でき、意欲を持って学習に取り組めるようになります。もちろん、難易度の高い学校を目指す場合は、後で、欠席期間に抜けた分を取り戻す必要は出てくるでしょう。しかし、先に進んである程度落ち着いてから戻る……というやり方もアリです。遅れを気にして取り組むよりも、ある程度進んだ状態で、その必要性を実感しながら復習すると、意識しないでダラダラ復習を進めるよりも短時間で頭に入りますし、意欲や集中力の低下もある程度抑えられます。学習にだって、いろいろな道があるのです。
 
そうした点も含めて、子どもたちの痛みや辛さ、焦りや恐怖感に共感してあげながら取り組むことはとても大切です。けれども、大人の側が子どもの焦りや恐怖感に感情的に流されて自分を見失ってしまうのではなく、一方において大人としての冷静な目で、子どもには見えていなかったり意識されていなかったりするような現実を見極めることも大切です。子どもの「現実」をきちんと見極めた上で、学習を無理なく続けられるような環境を整えたり、その瞬間、瞬間に必要なアドバイスをしてあげたりするのも大人の大切な役割ではないかと思います。
 
いろいろと大切な見方や考え方、具体的な例をあげて大人のサポートやアドバイスについて述べてきました。もちろん、これらがすべて正しく、あらゆる子どもたちに通じるとは言えないでしょうし、すべての人がすぐにこのようなサポートやアドバイスを実行できる訳でもないでしょう。けれども、少しずつでも意識しながら続けることでやがてできるようになっていく……というのは、子どもも大人も同じです。子どもたちと同じように、大人の側も、自分の続けることのできる努力を積み重ねて、少しずつ変わっていければ良いのではないかと思います。
 
 
                 〔完〕
 


2015年03月29日(Sun)▲ページの先頭へ
学習のサポート2015 @
はじめに
 
 
不登校や保健室登校、別室登校といった状態が長く続くと、当然、授業に参加できなくなるので、学習の遅れが気になり始めます。それは当初、本人以上に、先生や家族の方がとても気にします。でも、本人は気にしていないように見えても、実はかなり気にしていて、ある程度気持ちが落ち着いてきても、教室へ入っても勉強が分からないに違いないと想像して、どうしても教室に入れなくなったり、いっそう学校へ行けなくなったりする……という場合は少なくないようです。
 
実際、私が関わった例でも、数学の勉強がよく分かってきた時期に「行ってみよう」という気になって、学校に行ってテストを受けた例がありました。数学が分かってきたと実感できたことで、それが自信となり心の支えとなって、登校という行動に結びついていったのではないか、と思われます。
 
別の例では、ゲームが好きでそれに登場する戦国武将についていろいろな本や高校の教科書を読んで自分なりに勉強した結果、戦国時代を中心が歴史が強くなり、それが自信になって他の教科の勉強にも意欲的になっていった例もありました。
 
単に、成績や受験に関わってではなく、こころの支えともなる、という意味においても学習は重要ですが、そのサポートについては難しい面や、気をつけなければならない点もあります。そこで、今回は学習のサポートについて考えてみたいと思います。
  
 
 
ステップをきざむこと/行動のステップ
 
 
不登校になっていたり、学校には登校していても教室には入れず、きちんと授業を受けたりしていない場合、学習の全体を意識することは返ってマイナスです。それは、しなければならない内容の多さに圧倒されてやる気を失うからです。かなり前の話になりますが、不登校の相談の際に、1人のお母さんが、「不登校になってからの教科書をすべて、本人の目の前に並べました」という話を出してきたことがありました。その時に、「同じことをされたとしたら、お母さんはやる気が起きますか? 逆にやる気がなくなってしまうのではないでしょうか?」という話をしました。では、どうすれば良いのか。基本的な考え方は、やることができそうな小さな目標……ステップを刻み、それを達成することで自信をつけ、それを何度も積み重ねていくという形で進めることが、意外と有効です。
 
以前、小学校の途中から不登校になった男の子と関わったことがありました。本人が最初私のところに顔を出してから、次に顔を見せるまでおよそ半年のブランクがありましたが、本人も何とか勉強を進めたいという意欲があり、まず、2週間に1度私のところに来て、1時間勉強するという目標を2人で立てました。それは、すぐに達成できたので、次に週に1度、そして1回の1時間半にする、さらに週に2度、その上1回の勉強の時間を2時間にする……という風にして、行動目標を現実に応じて修正し、それを達成することによって自信をつけ、次に進む……ということを繰り返していきました。
 
加えて、単元ごとに学習内容も教え、練習問題等を積み重ねました。やがて本人が自分で教科書を読んだり問題集をしたりできるようになってきました。その段階で、単元ごとにテストをしてみて85点以上を取れたら合格……ということで次に進む、という形にしました。そうしたやり方をすることで本人は自信をつけ、特に数学などは、わずか1年半ほどで中1の最初の単元である「正の数負の数」から中3の「三平方の定理」まで、ほぼ85点以上をとって「数学はできる、得意だ」という気持ちを持つようになりました。
 
その自信が「期末テストを受けてみよう」、「学校へ行ってみよう」という気持ちにつながり、高校入試でも、「不登校枠」の推薦入試ではなく、得意の数学を含む一般入試でチャレンジし、見事合格を果たしました。その後は、休むことなく元気に高校に通っているという話をしばらくしてからご両親からうかがいました。
 
この例から、行動上のステップと学習上のステップを、それぞれ別々に細かく刻んでいることが先へ進むための重要なポイントとなっていることがよく分かります。精神的に混乱し、安定を失って、学習の習慣や日常生活の習慣が崩れてしまっている場合は、ある程度の時間を使って心を休め、エネルギーをためることが最優先です。が、その混乱期を過ぎて精神的に安定してきた時期に、行動上の目標を本人と一緒に設定し、時には修正しながら、ステップを積み上げていくことは、学習を進めていく上でとても大切になります。学習のステップを一歩ずつ進んでいく際に、この行動上のステップが土台にあると歩みは安定し、次第に早めていくことも場合によっては可能となります。その意味で、行動上のステップを意識することは大変重要だといえるでしょう。
 
 
 
ステップをきざむこと/学習内容のステップ
 
 
一方、学習内容のステップについては、まずは、続けることが可能となる無理のない目標を立てて、少しずつそれをクリアしながら進んでいくことが大切です。本人の中に長いこと勉強していない……という意識があると、どうしても焦ってしまいます。先に、すべての教科書を並べたお母さんの話を書きましたが、まじめな性格の場合は、そうしなくても本人の意識には「すべての勉強を完璧にしなければ……」という思いがある場合がほとんどです。でも、その多さも同時に意識してしまうので、どこから手をつけてよいのか分からなくなって途方にくれてしまい、何もできなくなってしまうのです。だから、無理のない目標を立てて、それをクリアするという学習を積み上げる行動はとても大切なのです。
 
不登校に限らず学業不振で高校入試の相談に来る中学生や家族の方に、「中3の学習内容は捨てなさい」というアドバイスをすることがけっこうあります。実際、連立方程式を今の時点で解くことができない大人はけっこういますが、その人たちは、立派に職業人として仕事をこなしていたり家庭人として家庭生活をきちんと支えていたりしていますし、一部の進学校を受験するのでない限り、中3までの学習内容を完璧に身に付けていなくても高校入試で合格する点の取れる学校はそれなりにあるのです。
 
そうした意味において、中3までの学習内容のすべてが、日本の社会で生きていく上に必要という訳ではありません。けれども、自分の就く仕事などによって必要となる場合はあります。例えば、「水道工事なんかの会社の事務をしているんだけど、水道工事でパイプをつなぐ計算などで三角比がけっこう使われていて、その勉強が分かっていたので役に立った」とか、「電気関係の仕事をしているけど、連立方程式をもっとしっかりやっとけば良かった」などという話を、かつて中学や高校で教えていた生徒と後に居酒屋などで再会したときに聞いたことがありました。
 
一方で、必要だから勉強する……のではなく、探究心から勉強することが後になって様々な形で役に立ってくることもあります。08年の日本人ノーベル物理学賞やノーベル化学賞の受賞者はすべて基礎研究で受賞していますが、研究していた時点で、それが実際の日常生活には直接役に立たないものばかりでした。けれども、4人の研究が土台になってさらに研究が進んだり、実際に日常の様々な場面で応用される形になったりしています。「方程式ができるようになったら、方程式を解くのがおもしろくなってきた」という声を時々聞くことがあります。「必要」ではなく「おもしろい」からという動機であっても、学びを深めることが人間的な成長や意識の広がりにつながっていくのです。
 
高校入試……という、とりあえずの目標があるから勉強をしているのだとしても、自分自身の今の現実をしっかりと考えてみる必要があります。例えば、人の多いところでは萎縮してしまうとか、混んでいるバスや電車には乗りにくいといった行動上の現実。あるいは、1年次の英単語も覚えていないとか、文字の式の計算がまったく理解できていないといったような学習上の現実……。そうした現実から考えてみた場合、続けられそうな環境・条件の高校はどれだけの学習の土台が必要か……ということを意識してみる必要があります。それらをきちんと考えた時、中学校3年間の学習内容すべてが必要となる場合はそれ程多くはないはずです。
 
残された時間が少なければ、基礎的な部分をしっかり身に付ける……そう意識すれば、「学習すべき内容」の量は減ってきますし、段階ごとに小さなステップを刻んで積み上げていけば、「学習しなければならない内容の多さ」に押しつぶされるようなことにはならないでしょう。やれそうな計画を立てて、1つひとつ確実にステップを刻み、土台を積み上げていくことが大切だし、それがまた自信にもつながり、高校からの学習の基礎作りにもなっていくのです。
 
それに、そうして身に付けた内容は、高校ばかりでなく次の学習やその後の生活で、直接・間接に役立っていくことも少なくありません。基礎作りは、その意味で、決して無駄にはならないのです。
 


2015年03月18日(Wed)▲ページの先頭へ
浜口塾 新年度生徒募集
浜口塾 / 浜口心理・教育研究所
  
生徒募集・教育相談の受付
  
新年度塾生を募集します。
 
中3年クラス  週2時間×2  月額\15,000(含・教材費)
     英・数・国(作文指導)を中心に
中1,2年クラス 週1時間半×2 月額\13,000(含・教材費)
     英・数を中心に
 
*希望により理科・社会等も指導します。
*高校生・小学生も相談に応じます。
・6名までの少人数指導です。
・高校推薦入試の作文、大学入試の小論文指導なども行っています。
・開設以来25年以上、高校進学100%、小論文指導では国立大学の合格者も出ています。
・勉強の仕方がわからない、勉強のくせそのものがついていない時の手だてなどの教育相談もしております。
・塾生と家族の教育相談は月1回は無料、月2回目以降は規定の半額で可能です。
  
*学習や心の問題にからむような個別の教育相談・心の相談もしています。
(1時間程度\5,000 / 25分\2,000 / 40分\3,000 / 10分程度までの電話相談は無料)
・不登校やひきこもりと関わって
・NEETの就労支援と関わって
・コミュニケーションの不安など対人関係に自身が持てない方 
・自分自身を見つめ直したい方
・感情のコントロールが苦手な方
 @事前にメール(ZAN20571@nifty.com)や電話(0599-85-2752)に連絡して下さい。

指導者・相談員 : 浜口 拓
 
フレネ教育研究会全国委員 / 三重フレネ研究会事務局長
三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会(三重県・考える会)世話人
伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会(サークルぼとぼといこか / 子どもみらい会議)事務局
全日本カウンセリング協議会認定カウンセラー
日本心理カウンセリング認定カウンセラー(24期生)
 
フレネ教育の視点から、学習心理学の視点から、カウンセリングの視点からなど、複数の視点から問題へのアプローチを考えていきます。
 
連絡先
 〒517-0701  三重県志摩市志摩町片田3603番地
    電話…0599-85-2752


2015年03月07日(Sat)▲ページの先頭へ
三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会 例会案内 
三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会
 
(三重県・考える会) 例会案内
 
日時 : 3月8日(日)13 : 30 〜 16 : 30
 
会場 : アスト津3F ミーティングルームB

進路の相談会 U

登校拒否•不登校•ひきこもりで思うこと

…状況,経験,その対応…

〇前半(13:40〜):登校拒否•不登校•ひきこもり、体験交流特別な講師のお話はなく、参加者で話し合い、カウンセラーや体験者がお話をお聞きします。子どもが不登校になって、やってみたこと・相談したこと・話したこと・話さないことなど、さまざまなことを聞き合い、情報交換をし合います。質問もできます。

○後半(15:30〜):個別相談(世話人への個別相談)
考える会世話人や、この会の他の会員にも個別に質問・相談できます。進学や就労の相談もできます。
相談者:浜口 拓(三重県•考える会と伊勢志摩の会ぼちぼちいこか世話人) 他。

・進学や就労についての情報提供と悩みについての相談会です。
・例会後、スタッフによる不登校・ひきこもりの個別相談も受け付けます。


   


【サークルぼちぼちいこか/伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会】は、事務局の浜口が、【三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会】(三重県・考える会)の世話役をしていたところ、「伊勢志摩にも家族会を!!」という声が上がったため作られたものです。


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浜口 拓/志摩市志摩町片田で小中高15校20年の経験とフレネ教育やカウンセリングの知識を生かした《浜口塾》を開いています。教育相談にも応じます。また文学活動などもしています。よろしければ【TAC雑想記】 【TAC文芸樹】のblogも覗いて下さい。

カレンダ
2015年3月
       

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