いじめにどう取り組むか 〜不登校の現場から〜 C
07,1/13 多気郡教育会館での講演原稿より
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2007年07月05日(Thu)
いじめにどう取り組むか 〜不登校の現場から〜 C
4、どうケアをしていくか
・いじめられている子 まず、守る/登校させないことも一つの選択 心のケア 生活のケア 学習のケア ・いじめている子 自分の行動の意識化 不安やストレス、いじめや虐待などの問題はないか ・周囲の子 いじめを許さない集団を作る ひとりではなく皆と止める ・大人の協力体制 さてここで、【いじめ】に対してどう向き合い、どのように対応していくかについて、もっと詳しく考えてみましょう。先ほど簡単に述べたものもありますが、具体的にどう考えてどう行動していけば良いかを知りたいというのが皆さんの思いでしょうから、あらためて述べることは特に大切なことであると思ってお読み下さい。 教育相談の中で何度も言った経験がありますが、最初に手を打たなければならないのは、いじめられた側の心身の安全と安定の確保です。これは、【いじめ】が分かった時点で、何をおいても最優先に手を打つ必要があります。早急に、その「いじめ」の現場から保護するのです。学校でいじめがあるなら、学校を休ませる……というのも1つの選択肢になります。「現場」から引き離して保護することによって、いじめられていた子を落ち着かせるのです。つまり、緊急避難の選択としては「不登校」もその1つになり得ると考えてください。 次に、いじめられ続けていると、自分の存在に対して自信を失い、「いても仕方がない」「生きていても仕方がない」などという自己否定感につながる思いに取り付かれてしまっている場合が少なくありません。ニュース等で報道される遺書の中身にこのような言葉が入っているのを見かけることが少なからずあるのはそうした理由からです。だから、周囲が、「あなたはかけがえのない存在なのだ」ということをきちんと伝え、自信を回復させていく手立てを取る必要があります。それも、早急に取り掛かることが要求されます。 ただ、場合によってはそれなりに時間がかかるのだ、と覚悟しておく必要はあるでしょう。具体的には、本人が好きなことに関わる活動や続けて取り組めるような活動を通じて、「やりとげた」という実感と、周囲からの肯定的な評価が積み重ねていく事が良い結果につながりやすいです。「やりとげた」という実感や周囲からの肯定的な評価が積み重なってくると、少しずつ自信も回復し、自己肯定感も出てきます。けれども、いじめられている期間が長いほど、自信や自己肯定感を回復させるのは大変で、時間もかかります。場合によっては半年や1年ですまないこともあります。それでも、愛情を持って辛抱強く接していくことが大切なのです。 学校を休んだりしている場合はもちろん、そうでない場合も学習に集中できるような精神状態ではないことも少なくありません。だから家族はもちろん本人も、たとえ口に出してはいないとしても、学習面での遅れは気になるところです。だから、ある程度精神的に落ち着いてきた段階で、学習面でのサポートをしてあげられれば一層良いと思われます。割と真面目なタイプも多いでしょうから、本人としても、学習の遅れは多少なりとも気になっているでしょう。 ただ、その時に、ブランクの期間のすべての学習内容に意識を向けさせ過ぎないように注意する必要はあるでしょう。すべての子が、すべての学習内容を完璧に分かっているわけではありません。だから、出来ることから少しずつ積み上げるように、小さな目標を設定して、それを少しずつ確認しながらクリアしていく…という形で学習を続けられるようにしていけばいいのです。積み重ねた時間とクリアした量がやがて自信につながり、自己肯定感になっていけば、他の面にも積極的になれる場合も出てきます。本人に「こんなにやらなければいけないのか…」という思いを持たさないように、そして「ああ、ここまでできるようになったんだ」という実感が持てるように接していくことが大切なポイントとなるでしょう。 それから、当然のことながら、加害者のケアも大切です。1つは、いじめだと気づいていないケース……。先ほども述べましたが、遊びのつもりでからかい続けていることが「いじめ」になってしまっていると本人たちが気づいていない場合は、それを教えてあげる必要があります。友達関係の中でお互いにからかい合うのは時々見かけられることですが、それが一方向で続いてしまっている場合は「いじめ」になるのだと強く認識させなければならないでしょう。自分がからかい続けられる立場だったらどんな気持ちになるかをきちんと考えさせ、相手への共感を育てていく。同時に、からかい続けている背景には、何らかのストレスの発散である場合も少なくないので、その原因を見つめ直し、改善できることは改善していけるようにサポートしてあげることも必要ではないかと思われます。家や学校でのその子の生活を見つめ直し、大人としてその子との関わりの中でできることを、その子の心に寄り添いながら考えていけると良いのではないでしょうか。 しかし、「いじめ」だと知っていながらやっている場合は、いじめている子どもの心の闇は深く、いじめそのものを止めるにも、その子どもをサポートしていくにもより一層きめ細やかな対応が必要になります。恐喝や悪質な暴力行為など刑事事件に発展してしまうような深刻な「いじめ」になっていくような可能性もありますので、場合によっては警察など法的な介入も含めて、まず強制的に「いじめ」を停止させる手立てが必要になります。ただ、子どもである以上そこまで精神的に荒廃してしまっている背景に目を向け、立ち直っていけるような丁寧できめ細かいサポート体制を周りに作っていかなければならないでしょう。時には、心から信頼している人間がその子どもの周囲にいないこともあります。そのようなケースでは、他者との関係作りや、その子の居場所作りから始めていかなければならないし、当然、時間もより一層長くかかるであろうということも覚悟しておく必要もあるかも知れません。 もう1つ、周囲の子どもたちに対するケアも大事になります。「いじめ」そのものを許さない雰囲気を作ることによって、関係は豊かになっていくものです。だから、子どもたちの集団を「いじめ」を絶対に許さないものに変えていくことは、子どもたち1人ひとりのこころを豊かに育てていくこととつながっているのだ…ということを大人たち自身がしっかりと心に刻んでおく必要があると思うのです。 確かに、1人で行動を起こすのは大変かも知れない…ということは共感しつつ、それならば他の子どもたちと一緒になって「いじめ」を止めるアクションを起こせるようにする、という方向に導いていくことが大切でしょう。具体的には、他者、特に止めてもらえそうな相手に事実を伝えることから始め、やがては、その「場」でも、「いじめ」を制止できる仲間や関係を育てていく……ということになるのではないかと思われます。 例えば、「ドラえもん」を例に考えてみましょう。ノビ太がジャイアンにいじめられている時に、静香ちゃんや出来杉くんが止めれば、いじめは止まるのです。けれども、スネオが止めても多分止まらないだろうし、返ってスネオがジャイアンにいじめられる危険性は高いでしょう。だから、スネオはジャイアンのいじめを止めることはできません。でも、スネオがいじめを止めたら静香ちゃんや出来杉くんが必ず一緒に止めてくれると信じられたら、スネオもいじめを止めることが出来るようになるのではないかと思われます。 実際、子どもから「クラスの子がいじめられている」ということで相談を受けた事があります。その時には、まず、そうやって言えた事を褒め、それから、言ってきた子どもたちにも確認して、私から担任の先生に伝えることにしました。加えて、本当は、その場で止めてあげられると一番良いけれど、1人では難しいなら、仲の良い友達と一緒に止められると良いね…という話をしました。それができなくても、誰か信じられる大人に話して、何とかいじめを止めさせるように動くということはとても大切だ…という話もしておきました。もちろん、時間をかけて丁寧にやっていかなければならない事ですが、いろいろな形で子どもたちを支えてやるような努力を積み重ねることが大人としての責任だろうと思います。 そのために必要なのは、大人の協力体制です。「犯人(原因)探し」や「責任逃れ」で時間を浪費してしまうと、肝心の子どもたちの心がより深く傷ついてしまいます。当事者や周囲の子どもたちの立ち直りや人間関係を深める経験としての「事件」にしていけるように、家庭と学校、地域の大人たちの力を結集していけるような体制を作っていけるようにしていく努力が大人の側にも必要ではないかと思います。 もちろん、時間もかかります。というよりも、子どもと一緒に過ごす時間をそれなりにきちんと取っておく必要があるでしょう。それだけでなく、親同士で、あるいは親と学校の間で安心して話が出来る関係を作っておくことも大切です。そして、みんなの力を結集して子どもたちを育てていくのです。 |
【サークルぼちぼちいこか/伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会】は、事務局の浜口が、【三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会】(三重県・考える会)の世話役をしていたところ、「伊勢志摩にも家族会を!!」という声が上がったため作られたものです。
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浜口 拓/志摩市志摩町片田で小中高15校20年の経験とフレネ教育やカウンセリングの知識を生かした《浜口塾》を開いています。教育相談にも応じます。また文学活動などもしています。よろしければ【TAC雑想記】 【TAC文芸樹】のblogも覗いて下さい。
カレンダ
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