いじめ・不登校問題とフレネ教育 C

子どもたちの自立へのステップを支えるための関わり方について

2007年08月22日(Wed)
いじめ・不登校問題とフレネ教育 C
4、どう関わっていくか
  子どもの自立が目的
   ・自信の回復
   ・受け止めてもらえる人、「居場所」
   ・スキルとしての人間関係の結び方
   ・1人で抱え込まず、協力していく体制を
 
 
三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会の例会などで、時々、ビジョンとステップの話をすることがあります。ビジョンとは、中・長期的な目標、ステップとはそれを実現するための短期的な目標です。特にステップは、今の現実の上に立って、毎日続けられる努力の積み重ねによって実現できるのではないかと考えられるものであり、「お父さんに『おはよう』と挨拶する」などという短期目標を立てることもあります。難しすぎる場合は現状を確認しながら「お父さんと一緒の部屋で1分以上は過ごせるようにする」などに変更することもあったりします。
 
では、ビジョンは? という事になると、実は、必ずしも高校に入学することが大切なのではなく、自分の暮らす地域でそれなりに働き、家族と共に暮らしていければ良い、ということになるのではないでしょうか。それなりに収入を得る腕や技術を身に付け、全ての人ではなく、自分の周囲の関係ある人々とのコミュニケーションが普通に出来ればそれなりに生きていけるわけですから、そうした「自立」を目標に努力を重ねれば良い…ということになるでしょう。
 
その際、カギを握るのが「自信」ということになります。自己実現の過程として本人が意識している確信的なひきこもりを除いた多くのひきこもりの事例や、それなりにサポート体制がある高校に通い始めた不登校経験者の事例において、対人関係に不安を抱えている場合が少なからず見受けられます。そして今までの経験上、その奥には、自分に対する自信のなさが隠れている場合が多いのです。だから、本当の意味で自信をつけていくようにサポートしていく事が大切になります。
 
特に、本人の年齢が学齢である場合は、学校の存在や学校との関係がプレッシャーになっていることが少なからずあり、その拘りをほぐしていく為に「学力」面でのサポートが精神を安定させるという心理的側面からのアプローチも有効になったりもします。実際に、個別で数学を教え始めたら理解できてプリント等でも8割から9割の正答率を誇るようになり、それが自信になって推薦ではなく数学のある一般で受験し、見事合格して、今では毎日元気に高校生活を送っているような事例もあります。
 
ただ、不登校問題で文部科学省の研究指定を受けている公立高校の先生たちと研究発表会の時に離したりもしているのですが、不登校の経験を乗り越えて高校に通っていても、対人関係を結ぶ場面での不安や問題を抱えている子どもたちは多いようです。それは、ある意味では当然でしょう。だから、挨拶とその意味や対人関係上の役割などを「スキル」として教えるようなことがあっても良いのではないか…という提案をしたりもしています。それと合わせて、子どもたちが安心して生活できる「居場所」づくりや、「作品」を他の生徒を含めた多くの人々の目に触れるところに置き、それを楽しんでもらったり、喜んで使ってもらったりすることを通して自信や受け入れられているという実感を培っていくようなサポートも大切にしていけば良いのではないか…といった話もしています。
 
先日の報道によれば、不登校が調査で増加に転じたとの事で、中日新聞から電話インタビューを受けました。それに対して、教育基本法の改悪をゴリ押ししても未だに30人学級を全国規模で実現できていない教育行政の貧困やホワイトカラー・エグゼンプションやパート・人材派遣の規制緩和によって労働環境を悪化させ、結果として家庭にまとまった子どものケアの時間を物理的にうばっているという間違った「改革」の問題点を指摘しておきましたが、その構造を分析しても個々のケースの具体的な対応に際してはあまり意味がありません。ただ、問題を放置しておけば、家族や社会、そして当事者自身にとっても大きな負担となるが、適切に対応・サポートできれば、彼らは、場合によっては普通の人以上に社会や地域に大きな貢献をする可能性を秘めていることはきちんと意識しておく必要はあるでしょう。
 
教師として、家族や周囲の大人としてできることは、基本的には環境を整えることになろうかと思います。例えば、07年夏のフレネ教育研究会の場では、母親の過敏すぎる対応が周りの子どもたちや家族との距離を開いているのではないか…といった事例もでましたが、そうした母親の反応自体にも、彼女の孤立…という現実が存在するように思われます。だから、話を聞く場を設定したり、話をきちんと聞ける人を紹介するような形で彼女の孤立感を和らげ、その上で一緒に出来ることを考えていく方向での対応などがあることを話しました。それによって母親や家族が精神的に安定してくれば、当事者の日常の環境が少しずつ変化することにつながり、改善のきっかけをつかめるようになるかもしれないからです。
 
母親や担任教師が1人で抱え込む…ということは環境を悪化させると共に、抱え込んだ母親や教師の精神をも追い詰めていきます。それを避けるために、いろいろな立場から関わり、協力体制を作っていくことが大切だろうと思います。
 

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【サークルぼちぼちいこか/伊勢志摩不登校ひきこもりを考える会】は、事務局の浜口が、【三重県登校拒否・不登校・ひきこもりを考える会】(三重県・考える会)の世話役をしていたところ、「伊勢志摩にも家族会を!!」という声が上がったため作られたものです。


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浜口 拓/志摩市志摩町片田で小中高15校20年の経験とフレネ教育やカウンセリングの知識を生かした《浜口塾》を開いています。教育相談にも応じます。また文学活動などもしています。よろしければ【TAC雑想記】 【TAC文芸樹】のblogも覗いて下さい。

カレンダ
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